労 務 相 談 室

 

【自己都合で給付制限か?】

 

<質 問 > 妊娠したため退職

    このたび、妊娠したため退職することにしました。しばらく再就職するつもりはないので、基本手当の受給期間を延長する予定です。子育てが一段落したら、求職活動を始めますが、この場合自己都合退職ですから、基本手当を受給するときは、3ヶ月間の給付制限が適用されるのでしょうか。 

 

 <回 答>  延長90日以上受ければ解除

    所定給付日数分の基本手当は受給期間内に限り支給されます。その期間は、原則1年間ですが、妊娠・出産・育児等によって、30日以上引き続き職業に就くことができなければ、延長できます(雇用保険法第20条)。

「妊娠」は産前6週間に限らず、本人が職業に就き得ない旨を申し出た場合であり、「出産」は原則として、出産予定日の6週間前の日以後、出産日の翌日から8週間を経過するまでの期間をいいます。

延長後、基本手当を受給するにあたり雇用保険法第33条では、正当な理由がなく自己都合で退職した場合は、3ヵ月以内の間で基本手当を受給しないと規定しています。

正当な理由とは、退職がやむを得ないものであることが客観的に認められることをいい、「妊娠、出産、育児等により退職し、受給期間延長措置を90日以上受けた場合」が含まれます。ですから、給付制限は行われません。

 

 

【協定超え残業命じた責任は?】

<質 問 > 締結義務負う派遣元か

    当社で派遣契約の打ち切りを決めたため、派遣元の人材会社が相当数を解雇したと聞きます。そのうち1人が、在職中に「36協定の限度を超える時間外を強制された」と当社に苦情を訴えています。36協定の締結義務は派遣元にあるので、法的な責任は当社に及ばないと考えますが、いかがでしょうか。

 

  <回 答>  順守すべき派遣先に罰則

    派遣労働者を雇用しているのは派遣元事業主(人材ビジネス会社)ですから、原則として、労基法上の責任を負うのは派遣元です。ただし、具体的な指揮命令は派遣先が行っているため、その範囲内で派遣先を「労働者を使用する事業主」とみなす特例が設けられています(派遣法第44条)。

ご指摘のとおり、「時間外・休日労働(36)協定の締結義務」は派遣元にあります。だからといって、派遣元が協定範囲を超えて時間外労働に従事させた責任を自動的に負うものではありません。

36協定締結の直接的効力は、時間外労働の刑事的免責です。協定の限度を超えて労働させた場合、免責を受けることができず、法定労働時間を定めた労基法第32条に違反します(労基法コンメンタール)。

派遣法の特例によれば、労基法第32条(法定労働時間の遵守)、第36条第1項(協定に基づく時間外労働)の規定は、派遣先の事業主に適用されます。派遣先の事業主は「派遣元の事業主が、派遣元事業場の過半数労組(ないときは過半数代表者)と協定し、労基署に届け出た場合、労基法第32条の規定にかかわらず、労働時間を延長できる」と読み替えます。法定労働時間順守の義務を負う派遣先が、自ら協定時間を超える時間外労働を命じたのですから、罰則は派遣先に適用されます。

ただし、派遣元は「派遣契約に従って労働させたなら労基法に抵触するときは、派遣を行ってはならない」(派遣法第44条第3項)ので、この規定に反するケースでは、派遣元も労基法違反で罰せられます(同第4項)。

いずれにせよ、時間外労働に対する割増賃金の支払義務は法の原則どおり派遣元が負います。仮に請求されても、貴社が応じる必要はありません。

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特定社会保険労務士 木阪 正規(埼玉県社会保険労務士会 所属)

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