◆ 厚生労働省は、昨年の臨時国会で成立した改正障害者雇用促進法の運用基準を定めた告示・省令案を明らかにした。徴収対象を中小企業まで拡大する障害者雇用納付金は、5年間に限り不足分1人当たり月4万円に減額する。逆に法定雇用率を達成している中小企業に支給する調整金は、同2万4000円とした。新設したグループ企業全体での実雇用率算定制度では、各子会社の実雇用率が最低でも1.2%相当をクリアする必要がある。
改正障害者雇用促進法によると、これまで徴収を猶予していた常用労働者101人以上規模の中小企業からも障害者雇用納付金を徴収(現行は301人以上)するとしている。ただし、適用猶予措置として、平成22年7月1日の施行から27年3月31日までは、徴収対象を201人以上とし、納付金額も当初5年間減額する方針が決まっていた。
省令案では、新たに対象となる201人以上300人以下の中小企業から徴収する納付金を4万円としている。中小企業の経営、負担能力などを勘案し、現在大手企業から徴収している納付金(5万円)の8割相当まで減額した。
同様に法定雇用率を上回って障害者を雇用している201人以上300人以下企業に支給する障害者雇用調整金も減額する。現在大企業に支給している超過分1人当たり2万7000円の約9割に相当する2万4000円が妥当とした。中小企業を対象とする報奨金2万1000円との中間に当たる金額である。
新たに認めたグループ企業全体での実雇用率算定制度(21年4月1日施行)に関しては、仮にグループ全体で雇用率を達成したとしても各子会社で後退する可能性があるため、一定の歯止めを掛けている。各子会社が最低限達成すべき実雇用率水準を「1.2%相当」としたもの。実際にはさらに条件を緩め、250人以上300人以下規模で2人以上、167人以上249人以下で1人以上とし、166人以下はゼロでも良い。
事業協同組合などを活用して共同で障害者を雇用するケースについても、各傘下企業が最低限雇用すべき障害者の数をグループ企業の各子会社の場合と同様とする。
中核となる事業協同組合などでは、常用労働者の100分の20以上、最低で2人以上の障害者雇用が必要である。