◆残業削減雇用維持奨励金は、労働者1人1ヶ月あたりの残業時間が、比較期間(6ヶ月)の月平均の2分の1以上かつ5時間以上削減した場合に、有期契約労働者に対して年間30万円、派遣労働者には同45万円(いずれも中小企業)支給する。
事業縮小が余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業・教育訓練などをさせた場合に手当などを助成するのが、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金である。
同助成金制度の一環として新設したのが、残業削減雇用維持奨励金だ。残業削減を促進して雇用維持の拡大を図る狙いがあるため、厚生労働省では「日本型ワークシェアリング」の普及策とも位置づけている。
同奨励金の受給に当たっては、労働組合との間に残業削減に関する書面による協定を締結したうえ、「残業削減計画届」を都道府県労働局に届け出る必要がある。事業主側が指定した対象期間(1年間)を6ヶ月で2区分し、判定期間ごとに2回に分けて支給するとした。
支給額は、各判定期間の末日時点において在籍(上限あり)する、有期契約労働者1人当たり中小企業で15万円(年間30万円)、大企業で10万円(同20万円)、派遣労働者の場合は1人当たり中小企業22.5万円(同45万円)、大企業15万円(同30万円)となっている。
判定は、1人1月当たりの残業削減状況に基づいて行う。判定期間の残業時間を、比較期間(残業削減計画届の提出から遡った6ヶ月間)より2分の1以上かつ5時間以上削減し、さらに事業所労働者数を5分の4以上維持していることが条件。残業削減計画届の提出日以降は、派遣労働者の中途契約解除などを含む労働者の解雇を実施していないことも前提である。