◆ 今国会で成立した平成21年度補正予算で政府は、総額7000億円を投入し、中央職業能力開発協会内に「緊急人材育成・就職支援基金」を設立した。今後3年間にわたり、雇用保険を受給していない離職者などを対象とする職業訓練、職業紹介助成を抜本的に拡充する意向だ。
離職者などを実習や職場体験で受け入れた事業主に1人当たり月10万円、正規雇用に結びつけた場合さらに1人当たり100万円支給する。長期失業者に再就職支援を実施した民間職業紹介業者には、就職の成否にかかわらず同20万円、早期に就職させ定着させたときは、同50万円の委託費を支払う。
同基金では、雇用保険の受給資格のない非正規離職者、長期失業者などに対するセーフティーネット強化策として、3年間にわたり職業訓練、再就職支援などを総合的に行っていくとした(7月以降、漸次受付開始)。
雇用創出対策としては、中小企業等雇用創出支援事業(予算額約1620億円)をスタートさせる。このうち実習型では、製造業などから離職を余儀なくされた非正規労働者を、ハローワークを通じて受け入れ、6ヵ月間実習させた事業主に1人当たり月10万円を支給。実習終了後に正規雇用すると、1人当たり100万円を追加支給、さらに採用後の教育訓練経費の助成として同最大50万円を上乗せ。職場体験型では、同じくハローワークを通じて受け入れ、1ヵ月間職場体験させると1人当たり最大10万円、その後正規雇用すると、1人当たり100万円を追加支給する。職場体験参加者に対しても同最大12万円支給する。
予算額約380億円規模を想定している長期失業者等支援事業においては、民間職業紹介事業者に委託費を支払って就職を促進していく。1年以上失業しているが、就職意識の高い離職者について、民間職業紹介事業者に再就職のためのカウンセリング、再就職先の開拓、セミナーなどを委託する。
基本委託費は、就職の成否にかかわらず1人当たり20万円(実際には入札により決定)、その後3ヵ月以内の早期就職に結びつけた場合は同30万円(3ヶ月以上は同15万円)を追加支給、併せて就職後6ヵ月間にわたり定着させるとさらに同20万円支給する。
長期失業者のうち住宅を喪失し、就職活動が困難となっている離職者に関しても、ほぼ同様の金額を支払って民間職業紹介業者に就職支援を委託すると同時に、離職者に対して生活費、就職活動費などの実費(上限あり)を助成する。ただし、長期失業者等支援事業の実施地域は、非正規離職者などが多い大都市圏などを含む14都道府県に限る。