【改正労基法で通達】・・・厚生労働省
60時間超と深夜で75%増し
◆ 厚生労働省は、平成22年4月1日に施行する改正労働基準法の詳細な運用基準を、都道府県労働局長宛てに通達した。
新たに法定割増率50%が適用される時間外労働は、賃金起算日から累計して60時間を超えた時間数で、深夜労働と重なると75%増しの支払いが必要となる。引き上げ分の割増賃金支払いに代えることができる代替休暇は、労働者の意思に基づき、時間単位年次有給休暇と組み合わせるなどして、一日または半日単位で付与しなければならないなどとした。
通達によると、50%増しの割増賃金支払いが必要となる時間外労働は、賃金起算日から1ヵ月間において、累計60時間を超えた時間数で、所定休日(週1回または4週4日の休日以外)に行った時間外も含めて計算する。深夜労働と重なった場合は、75%増しの割増賃金支払いが必要になるとした。引き上げ分の割増賃金支払いに代えて付与することができる代替休暇については、まとまった休暇として労働者の休息に当てる趣旨から、1日または半日単位で付与しなければならない。
代替休暇が計算上1日または半日に達しないときは、使用者が「任意に創設」した有給休暇と併せて、決められた単位で付与する。今回新たに認めた時間単位年次有給休暇と組み合わせることも可能とした。その場合に50%増しの割増賃金にかかわるのは、代替休暇部分に限られる。代替休暇を与えることができる期間は、時間外労働が60時間を超えた1ヵ月の末日の翌日から起算して2ヵ月以内としている。前々月の時間外労働に対応する代替休暇と同じく前月の代替休暇と合わせて1日または半日として付与することもできる。
ただし代替休暇は、個々の労働者に取得を義務付けるものではない。代替休暇に関する労使協定が締結されている事業場において実際に取得するか否かは、労働者の意思による。
時間単位年休では、1日分の年休が何時間分の時間単位年休に相当するかが問題となる。所定労働時間数を基に計算して定めるが、1時間に満たない端数時間が生じた場合は、労働者にとって不利益とならないよう時間単位に切り上げる。労使協定で定めれば、2時間、3時間単位で付与するのも可能とした。
時間単位年休も時季変更権の対象となるが、労働者が時間単位年休の取得を希望したにもかかわらず1日単位に変更したり、逆に1日単位で希望したのに時間単位に変更するのは時季変更権に当たらず認められない。