解雇防止へ監督強化
◆ 6月24日、育児・介護休業法改正案が、衆議院本会議で可決、成立した。3歳までの子を養育する労働者が請求した場合、1日6時間の短時間勤務制度の創設を義務化したほか、父母がともに育児休業を取得するケースに限り、最長で子が1歳2ヵ月まで取得可能期間を延長する。最近になって育児休業の申出を理由とする解雇や不利益扱いが急増しているとして、都道府県労働局による指導・監督を強化する一方、新設する企業名公表制度の十分な活用を図るとした。
改正案は、①子育て期間中の働き方の見直し、②父親の子育て参加促進、③仕事と介護の両立支援、④法律の実効性確保――の4つの柱から構成されている。子育て期の働き方では、約7割の女性が第1子出産後に離職する一方、短時間勤務と所定外労働免除制度に対するニーズが高いことが判明。このため、3歳までの子を養育する労働者が請求した場合、1日6時間の短時間勤務の実施を事業主に義務化した。所定外労働免除も、同じく3歳までの子を養育する労働者が請求した場合に適用しなければならない。
看護休暇に関しては、子が多いほど病気で仕事を休む可能性が高まるため、小学校就学前の子が1人なら年間5日、2人以上なら年間10日付与しなければならない。
父親の育児参加促進策として、父母が共に育児休業を取得する場合、子が1歳2ヵ月に達するまで取得可能期間を延長する。また妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得したケースに限り育児休業再取得を可能とする特例を新設した。
労使協定を締結すれば専業主婦の夫などを育児休業の対象外にできるとする現行規定も廃止し、すべての父親が必要に応じて育児休業の取得を可能としている。改正法の実効性を高めるため、都道府県労働局長による苦情・紛争の解決援助および調停委員による調停制度を新設。勧告に従わない事業主へは企業名を公表するほか、虚偽報告に対する過料を導入した。都道府県労働局では、育児休業申出などを理由とする解雇(育休切り)や不利益扱いが急増しているため、事業主に対する指導・監督を強化すると同時に、新設した企業名公表制度を「十分活用」して法令違反に対処する。手続き面では、育児休業を申出た労働者に対し、休業開始日と終了日を明記した書面の交付を事業主に義務付ける。
施行は平成22年度を予定。ただし企業名公表制度と虚偽報告に対する過料は、21年9月30日に施行を前倒しした。100人以下規模事業主は、一部規定について3年間適用を猶予する。