離職者雇用で1人90万円
◆ 厚生労働省は、建設業の成長分野進出や雇用維持支援などを促進するため、新たに助成金制度を創設する。中小建設事業主が、農業、環境、介護分野などに労働者を従事させるために教育訓練を実施した場合、経費の3分の2などを助成する一方、中高年の建設業離職者を雇い入れた中小事業主に1人当たり90万円を支給する。
政府の第2次補正予算は、成長分野を中心とした雇用創出対策を大きな柱に据えている。内需主導の経済成長をめざすため、未来の成長分野として期待される介護、農林、観光などへの進出、労働移動を後押しする。
大きな課題となっているのが、業況が悪化している建設業からの成長分野進出促進である。厚労省では、「建設業新分野教育訓練助成金」と「建設業離職者雇用開発助成金」の2つの助成金を創出して、同業界に対する支援を強化する
。建設業新分野教育訓練助成金は、従業員300人以下あるいは資本金3億円以下の中小建設事業主を対象に支給する。建設労働者の雇用を維持しながら、グリーン雇用分野である農業、観光さらに介護分野などに従事するための教育訓練(OJTを除く)を実施した場合、実施経費の3分の2を助成する。同教育訓練を実施した期間に支払った賃金についても、1人当たり日額7000円を上限に補助(限度60日間)する考えである。
政府統計によると、建設業で新分野進出を進めている企業割合は、8%程度とみられている。今後、成長分野進出へ向けた経営相談窓口、情報提供なども充実させる。
建設業離職者雇用開発助成金は、建設業を除く事業主が、建設業から離職した労働者を公共職業安定所などの紹介を通じて雇入れた際に、中小事業主に1人あたり90万円、大企業に同50万円を助成するもの。
ただし雇入れ労働者の年齢条件は45歳以上60歳未満の中高年齢者で、雇入れ後1年間は継続雇用しなければならない。このため継続雇用期間6ヵ月ごとに2回に分けて支給する。