<労 務 相 談 室>
【育休中は年休発生しないか】
<質 問 > 子3歳まで長期休業を取得
◆ 育児をサポートするため、3歳まで「育児休業に関する制度」を導入することにしました。当社では、4月1日を年休付与の基準日と定めています。長期の休業取得者は、4月から翌3月まで年度を通して1日も出勤日がないケースが生じます。この場合、翌年の4月1日に年休を付与する義務はないのでしょうか。
<回 答> 1歳半まで出勤とみなす
◆ 年休の権利は、基準日の前日から1年(最初は6ヵ月)の期間を対象として、出勤率が8割以上ある場合に発生します。ただし、「育児休業を取得した期間は出勤したものとみなす」という特例が設けられています。
解釈例規でも、「従来、育児・介護休業期間は年休の算定基礎となる全労働日に含まないとしてきたが、(育児・介護休業の義務化に伴い)出勤したものとみなすこととした」と述べています。
解雇の取消しに伴い復職した社員については、「解雇日以降は使用者の責めに帰すべき理由により労働できなかったので、全労働日の算定に当たっては、上記日数を除外する。その結果、労働者の前年における全労働日が零となる場合は、法第39条の解釈上8割以上出勤するという法定要件を満たさないから、年休の請求権は発生しない」と述べた解釈例規があります。
しかし、育休の場合、その期間を全労働日から除外し、残りの労働日について8割出勤の有無を判断するという意味ではありません。1年間フルに育休を取得しても、所定の労働日(たとえば250日)がそのまま全労働日となります。
ただし、「出勤したとみなす」のは、育介休業法に基づく育児休業のみ、つまり子が1歳(保育所がみつからない等の特別の事情があれば1歳6ヵ月)までの育児休業です。それ以降、子が3歳に達するまでの「育児に関する休業に準ずる措置」は対象に含まれず、労使で別に取扱いを定めます。
復職後に年休の残日数がないという不便を考えれば、時効消滅した分の一部利用を認める等の配慮がベターでしょう。