【年金やメンヘルに対応】・・・厚生労働省
ハローワーク改革
◆ 厚生労働省は平成23年度、ハローワークを「積極的就労・生活支援対策」の推進拠点とする方針を明らかにした。職業紹介、雇用管理指導などの強化に加え、就職意欲・能力向上対策の実施、メンタルヘルス・多重債務・年金に関する相談対応、住宅確保支援、職業訓練中の生活給付金の支給など、求職者に対する総合的支援の窓口に衣替えする。厚労省が提唱する参加型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)の展開の一翼を担う。
厚生労働省は、今後日本が進むべき方向として「ポジティブ・ウェルフェア」の考え方を提唱している。社会保障の推進に当り「機会の平等」のみならず、国民が自らの可能性を引き出し発揮することを支援する参加型に変え、本人の自己決定(自律)を後押しする。
雇用分野においては、失業しても一人ひとりの実情に合わせた行政対応を行い、トランポリンのように労働市場に復帰できる仕組みを整備する。併せて、住宅対策など生活保障と職業紹介を組み合わせて必要に応じた社会保障を提供していく。ポジティブ・ウェルフェアの推進拠点とするのがハローワークである。職業紹介、雇用保険、雇用管理指導の充実・強化と並行して、労働市場参加への意欲・能力の向上対策、メンタルヘルス・多重債務対策、年金に関するワンストップサービスなど、積極的就労・生活支援を一体的に実施していく。
求職者の意欲・能力向上対策としては、民間委託に基づくきめ細かいカウンセリング事業をスタートさせる。職業訓練を受講すれば就職可能性が高まると見込まれる者などを対象に、個別カウンセリング、適性・性格診断、グループ方式による生活指導などを行って円滑な就職へと結びつける。23年度中に制度化する予定の求職者支援制度の利用にもつなげる。
住宅喪失の恐れがある者については、住宅手当の支給可否相談、住宅手当申請様式の配布と作成に対する助言などにより、地方自治体への申請を後押し。
メンタルヘルス・多重債務対策では、全国の主要ハローワークに臨床心理士や弁護士などを巡回相談に当らせるとした。雇用保険・年金相談コーナー(仮称)を新設し、相談員(社会保険労務士)が、雇用保険と年金の併給調整、国民健康保険料の軽減措置などに関するアドバイスを担当する。
自律に向け継続的な支援を要する失業者に対しては、新設するパーソナル・サポート・センター(仮称)が、カウンセリング、職業相談窓口への誘導、企業情報の提供など「寄り添い型・伴走型支援」を推進する。