< 労 務 相 談 室 >
【子供の入院先寄るが通災か】
<質 問 > 通勤経路から外れる
◆ 女性従業員から、入院中の子供の世話をするため、定期的に早帰りさせてほしいと要望がありました。早退自体は認めるとして、病院への行き帰りの途中で事故に遭った場合、通勤災害に該当するのでしょうか。人事課員の中には「法改正で、保護対象になったはず」という者もいますが、どうなのでしょうか。
<回 答> 逸脱を除いて保護対象に
◆ 通勤災害制度に関する改正は、平成20年4月1日から実施されています。通勤中に経路逸脱・中断があった場合、原則としてその後に発生した事故は保護対象となりません。しかし、逸脱・中断が日常生活上必要な行為で最小限度のものである場合、「逸脱・中断の間を除き、この限りでない」と規定されています。
この「日常生活上必要な行為」の類型は労災則第8条に列挙されていますが、上記改正により次の行為が追加されました(第5号)。
○要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母および兄弟姉妹の介護(継続・反復的なものに限る)
しかし、通達では「入院している子供の世話を行うために病院に立ち寄る場合、その行為が家族の衣、食、保険、衛生、教養のための行為であれば、労災則8条第1号に定める『日用品の購入その他これに準ずる行為』に該当する」と述べています。ですから、前掲労災則第5号には含まれず、改正以前から第1号として保護対象とされていたという解釈になります。
第1号・第5号のいずれのケースも、経路に復した後は通勤災害と認められますが、「逸脱・中断中」の事故は対象から除かれてしまいます。
紛らわしいのは、「他に子供を看護する者がいない共働き労働者が託児所、親戚等に預けるためにとる経路などは、その立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となる」点です。
この場合、通常の経路と異なるルートを採っても、その経路全体が「合理的」と認められるので、いわゆる「逸脱中」も含め、通災制度の保護を受けることができます。