【改正派遣法運用で通達】・・・厚生労働省
就労拒否企業を公表
厚生労働省は、さきごろ成立した改正労働者派遣法の運用方針について都道府県労働局長あてに通達した。新設した労働契約申込みみなし制度の対象となる違反行為は、派遣対象業務外の派遣、派遣元以外の事業主からの派遣、派遣可能期間を超える派遣、偽装請負などで、違反を行った時点において、同申込みをしたものとみなす。同申込みは、1年間撤回できない。対象となった派遣労働者の就労を拒む派遣先に対しては、助言・指導・勧告ができ、従わない場合は企業名を公表する。
通達によると、派遣先が労働者派遣法に違反する行為を行った場合、その時点において、対象となった派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしたものとみなすとした。ただし、派遣先が違反に該当することを知らず、かつ知らなかったことにつき過失がないときは対象外としている。
同申込みみなし制度の対象となる違反行為とは、①建設業務、警備業務など派遣対象外業務の派遣受け入れ、②派遣元事業主以外からの派遣受け入れ、③派遣可能期間を超える派遣受け入れ、④偽装請負などである。
違反行為が終了した日から1年を経過する日までは、同申込みを撤回できない。派遣元は、派遣先に対して速やかに労働条件の内容を通知し、派遣先はこの内容と同一の労働条件で就労させなければならないとした。
同申込みみなし制度に反して、派遣先が就労を拒む場合、厚生労働大臣は必要な助言・指導・勧告をすることができる。就労を勧告したにもかかわらず従わないときは、派遣先企業名を公表するとしている。
一般労働者派遣事業の許可および特定労働者派遣事業の開始に当たっての欠格事由も追加した。過去に派遣事業の許可取り消しや廃止を命じられた事業主の役員であった者で、同取り消しなどの日から5年を経過していない場合を欠格事由とした。役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役員に準ずる者で名称を問わずこれらと同等の支配力を有する者をいう。
また、派遣事業の許可取り消し・廃止の命令処分の手続きの途中(聴聞の通知があった日から処分決定までの間)において、派遣事業の廃止の届出をした者で、同届出から5年を経過していないケースも同様に欠格事由に含めた。
通達では、有期雇用派遣労働者の雇用安定措置を努力義務化したほか、均衡を考慮した待遇の確保を配慮義務とした。
具体的には、有期雇用の派遣労働者に対し、無期雇用の派遣労働者または派遣以外の無期雇用の労働者として就業する機会を確保し、提供するほか、有期雇用の派遣労働者を積極的に紹介予定派遣の対象とする。
派遣元は、同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準などとの均衡を考慮した賃金決定を行うよう配慮しなければならない。