【改正ニュース】・・・労働基準法施行規則の改正
<業務上疾病の範囲拡大>
◆ 厚生労働省は、業務上疾病の範囲を見直し、労働基準法施行規則を一部改正した。労災補償の対象となる疾病を列挙している労基則第35条(別表第1の2)に、過重負荷による脳・心臓疾患や心理的負荷による精神障害などを追加した。
(追加された業務上疾病及び対象業務)
○長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病
○人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病
○石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚
○塩化ビニルにさらされる業務による肝細胞がん
○電離放射線にさらされる業務による多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫
(既に規定する疾病・対象業務の見直し)
○上肢障害関係について、規定する疾病を「後頭部、頚部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害」に、対象業務を「電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務」に各々改めました。
○伝染性疾患関係について、規定する伝染性疾患に係る対象業務に「介護の業務」を追加しました。
平成15年〜20年度の労災認定件数は、過重負荷による脳・心臓疾患が2062件、心理的負荷による精神障害が1107件に上っている。厚生労働省では、近年の労災発生状況と新たな医学的知見に基づいて、疾病の範囲見直しを検討していた。